愛せない妻へ。
私には妻と結婚した後も彼女という、所謂不倫相手がいた。
深夜に家に帰るのは別に仕事を残業していた訳ではない。
それまでの間、不倫相手の家に会いに行っていたからだ。
朝は妻と食べ、夜は不倫相手、瞳と食べていた。
だから結婚当初、妻の晩御飯を口にしたことはなかった。
けれど、そんな私に妻は毎日晩御飯を作っていた。
帰宅すると絶対テーブルに晩御飯が置かれているのだ。
健気に毎日、毎日、晩御飯を置いてある。
しかし、そんな晩御飯に私は手をつけることはなかった。
家で毎日晩御飯に手をつけない旦那。
私に不倫相手という名の愛人がいることに妻は気づいていた。
だが、妻はそのことについて私に責めることも、問い詰めることはしなかった。