愛せない妻へ。


私には妻と結婚した後も彼女という、所謂不倫相手がいた。



深夜に家に帰るのは別に仕事を残業していた訳ではない。

それまでの間、不倫相手の家に会いに行っていたからだ。




朝は妻と食べ、夜は不倫相手、瞳と食べていた。



だから結婚当初、妻の晩御飯を口にしたことはなかった。


けれど、そんな私に妻は毎日晩御飯を作っていた。



帰宅すると絶対テーブルに晩御飯が置かれているのだ。



健気に毎日、毎日、晩御飯を置いてある。


しかし、そんな晩御飯に私は手をつけることはなかった。



家で毎日晩御飯に手をつけない旦那。




私に不倫相手という名の愛人がいることに妻は気づいていた。




だが、妻はそのことについて私に責めることも、問い詰めることはしなかった。

< 7 / 30 >

この作品をシェア

pagetop