愛せない妻へ。
妻は朝になると毎日笑顔で挨拶をし、怒られることを知っておきながら話しかけてくるのだ。
妻の考えが読めなかった。
そんな状態が1年と少し続いたある日、私の実家に呼ばれた。
呼ばれた時から予想はしていた。
子どもの催促だった。
見合い結婚の主な理由は早く孫の顔が見たかった、そんな些細な我が儘な願望で俺の一生が決まった。
けれど結婚して1年も経つのに待っても待っても報告がないことに不満を持ったという話だ。
報告なんてできる訳がない。
私は妻を抱いたことがないのだ。
その日から私は仕方なく月1で妻を抱いた。
そこに愛などなかった。
ただ子を作るという目的だけで妻を抱いた。
別に初めてではなさそうだったので、優しさも丁寧にすることもなく、ただ抱いた。
ただ抱いて、種を植え付けるだけの行為、ただそれだけのことだった。
それでも妻は行為が終わると、微笑んで私を見るのだ。
まるで、それでもいいと言うかのように。