まだ、心の準備できてません！
「何かお探しですか？」


キョロキョロと辺りを見回していた私に、店員さんらしき女性が笑顔で話し掛けてきた。

ダークブラウンの長い髪をくせ毛風にうねらせ、白いブラウスにワインレッドの上品なフレアスカートを合わせたスタイルの、目鼻立ちがはっきりした美人さんだ。

急に話し掛けられたため、一瞬言葉に詰まる。


「あ、いえ！　大丈夫です」

「失礼いたしました。お困りのことやご相談がありましたら、お気軽にお尋ねくださいね」


モデルか女優のような笑顔で頭を下げる彼女に、私はへらっとしてしまう。

まるで、べっぴんさんに見惚れるおじさんのように。

すごいな、店員さんまでもが綺麗で、接客も丁寧で……ほんとレベル高い。


感心しながら私から離れていく彼女を眺めていると、壁に貼られた一枚の紙が目に入った。

そこには、いろいろなプレゼントらしき写真とともに、“ラッピング講習会開催中”と書かれている。

そんなこともやっているんだ……と思った、その時。


「あ、浅野さん！　ちょっと確認していただきたいことが……」


レジカウンターの後方にある“Staff only”と書かれたドアが開かれ、そこにいるのであろう人に、美人な店員さんが話し掛けた。

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