まだ、心の準備できてません!
翌日の仕事終わり、たまたま予定が空いていた陽介と由香と会うことになった。
マシロまで来てくれたふたりを、今日の集会の場として私が選んだお店まで案内する。
そこへ初めて来店したふたりは、目が飛び出そうなほど見開いて硬直している。
「やぁだ、久しぶりじゃなーい!」
「お久しぶりです、ジャスミンさん」
両手を広げてカウンターから飛び出してくる、フリフリエプロンを付けた強面坊主の彼女に、私は笑顔を返す。
けど、このブライズが初体験の陽介達にとってはやっぱり刺激が強すぎるみたい。
「ジャ、ジャスミン?」
怯えるように、私にぴったりとくっついている由香が耳元でこそっと尋ねる。
「ここのママなの。強烈だけどいい人だよ」
私も小声で教えると、由香は返事の代わりにコクコクと頷く。
レジの手前で立ったままの私達に接近してきたジャスミンさんは、私の手を握ってぶんぶんと上下に振る。
「あれからちっとも来てくれないから寂しかったのよ!? ジャスミン&ホワイトでデュエットしようって約束したのにぃー」
「……約束、してないですよね?」
手を振られつつ苦笑いする私に、今度は陽介が顔を近付けて尋ねる。
「ホ、ホワイト?」
「……私のここでのあだ名」