まだ、心の準備できてません!
番組を見て、マシロのことをたくさんの人に知ってもらえたら、きっともっと集客出来るはず。


そんな、ありがたい取材が来ると聞いて真っ先に思い出したのは、

『トワルにテレビの取材が来ることになったんです。そこで、マシロのことも宣伝しておきましたよ』

という、浅野さんの一言。

もし今回のことがそのせいなら、浅野さんのおかげということになる。

でも、合併しようとしているのに、マシロの知名度を上げるようなことをしたら、困るのは向こうなんじゃないのかな……。


ぼんやり考えていると、腕時計を確認する陽介が見えてはっとした。

いけない、お父さんに連絡しとかなきゃ。


「ごめん、ちょっと電話」と断り、まだ仕事中だろうからマシロに掛けてみた。

すぐに出たお父さんに、さくさくと用件を告げる。


「私、外でご飯食べて帰るから、お父さんは昨日のカレーあっためて食べてね」

『父さんは残り物か……うぅ』


あからさまな泣きマネをするお父さんに苦笑する私。


『由香ちゃんと一緒なのか?』

「違うよ、陽介」

『おぉ、陽介くんか! それなら安心だ』


安心しちゃうんだ、と内心ツッコミを入れ、笑って短い通話を終えた。

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