まだ、心の準備できてません！
美玲ちゃんの部屋を出て階下に下りると、リビングでそわそわしながら真白さんが待っていた。

俺を見て歩み寄る彼に、薄く微笑む。


「彼女、しっかり寝てるので。俺はこれで失礼します」

「あぁ、迷惑かけて悪かったね」

「いえ、とんでもない。こちらこそ本当にすみませんでした」


何も悪くないのに謝らせてしまい、恐縮しながら頭を下げた。

そうして帰ろうとしたものの、ひとつ確認しておきたくなり、「……真白さん」と呼び掛ける。


「約束通り、これから俺のやり方で動きます。それによって美玲ちゃんがどうするかも、静かに見守っていてくれますか？」


真剣な目で見つめ問い掛けると、不思議そうな顔をしていた彼は、ふっと表情を緩めて「わかったよ」と頷いた。

しかし、彼は俺の心の内を探るような目で見てくる。


「でも……いったいどんな計画を練ってるんだい？」

「今は内緒です。でも、彼女に手を出すようなことはしませんから、ご心配なく」

「当たり前だろう！」


ひょっとこみたいな顔で即座につっこむ真白さんに思わず笑ってしまうが、彼はすぐに顎に手をあてて悩み始める。

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