まだ、心の準備できてません!
教会にたどり着き、厳かでロマンチックなムードたっぷりの世界に感動しながら、その雰囲気に浸っていた時。
「あれっ、美玲?」
私達の横を通り過ぎていった女性の声が、後ろから響いてきた。
振り向いた瞬間、これまでの幸せが消えてしまうんじゃないかというくらい、黒い感情が湧き上がる。
──私に笑顔を向けていたのは、あの晴菜だったから。
無意識に繋ぐ手に力を込めてしまい、夏輝さんは不思議そうに私を見下ろす。
強張った私の顔と晴菜を交互に見て、何かを感じ取ったように、彼も私の手を握り返した。
「わぁ~また偶然会っちゃったね! うちらって何か縁があるのかなぁ」
「う、うん……」
そうだね、切っても切れない悪縁があるとしか思えないわ。
心で毒づきながら、ニコニコ笑顔でこちらに近付いてくる彼女に、ぎこちない笑みを返す。
晴菜は私達と同世代っぽい男子と一緒にここへ来ているみたいだけど、置いてきぼりにされた彼はスマホを弄り始める。今の彼氏だろうか。
「もしかして、美玲の彼氏?」
同じことを考えていたらしい晴菜は、品定めするような上目遣いで夏輝さんを見つめつつ、私にこそっと問い掛けた。
もうこのコには何も教えたくないというのが本音だけれど、実際は答えないわけにもいかないから、私は小さく頷く。
「あれっ、美玲?」
私達の横を通り過ぎていった女性の声が、後ろから響いてきた。
振り向いた瞬間、これまでの幸せが消えてしまうんじゃないかというくらい、黒い感情が湧き上がる。
──私に笑顔を向けていたのは、あの晴菜だったから。
無意識に繋ぐ手に力を込めてしまい、夏輝さんは不思議そうに私を見下ろす。
強張った私の顔と晴菜を交互に見て、何かを感じ取ったように、彼も私の手を握り返した。
「わぁ~また偶然会っちゃったね! うちらって何か縁があるのかなぁ」
「う、うん……」
そうだね、切っても切れない悪縁があるとしか思えないわ。
心で毒づきながら、ニコニコ笑顔でこちらに近付いてくる彼女に、ぎこちない笑みを返す。
晴菜は私達と同世代っぽい男子と一緒にここへ来ているみたいだけど、置いてきぼりにされた彼はスマホを弄り始める。今の彼氏だろうか。
「もしかして、美玲の彼氏?」
同じことを考えていたらしい晴菜は、品定めするような上目遣いで夏輝さんを見つめつつ、私にこそっと問い掛けた。
もうこのコには何も教えたくないというのが本音だけれど、実際は答えないわけにもいかないから、私は小さく頷く。