まだ、心の準備できてません!
力強い口調で言うと、晴菜だけでなく、夏輝さんも驚いたような表情で私を見つめる。

それに構わず、私は彼の腕にしがみつき、自信に満ちた笑みを浮かべる。


「私のことも、ずっと大切にしてくれるって信じてるから」


私達は深く愛し合っているのだと思い知らせれば、きっと簡単に奪えるとは思われないはず。

些細な仕返しも兼ねて、晴菜に一泡吹かせてやるために言ったことだけれど、これは全部本心だ。

初恋の時より、今の方が想いは強いと言い切れるし、夏輝さんもきっと私を裏切るようなことはしない。

今は羞恥心よりも、彼女への対抗心の方が大きかった。


動揺しているような晴菜は、ぎこちなく笑いながら私の肩を軽く叩く。


「や……やぁだ美玲ってば、ノロケ過ぎ! そうやって言えるのも付き合い始めだけだよー?」

「そんなことないよ」


すかさず落ち着いた声を発したのは、ずっと静観していた夏輝さんだ。

隣を見上げると、彼も私を見下ろし、とろけるような微笑みを向けられる。


「俺も彼女を手放す気はないし、ずっと愛してるって誓えるから」


──ドキン、と胸の鐘が優しい音色を響かせた。

他人の前で、夏輝さんもこんな宣言をしてくれるなんて……。

恥ずかしいけれど、あの時の先輩とは違うのだと証明してくれたようで、すごく嬉しかった。

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