まだ、心の準備できてません!
ふたりの世界が出来上がってしまったように見つめ合っていると、ぽかんとしていた晴菜は、徐々に白けたような表情に変わる。
すると、少し離れた所から彼女の男友達が声を掛けてきた。
「晴菜、寒いからそろそろ行こうぜ」
「あ、うん……! じ、じゃあ、またね美玲。どうぞお幸せに~……」
私に手を振る晴菜は、彼女らしくないものすごく不自然な笑顔で、関わりたくないとでも言いたげにそそくさと去って行った。
夏輝さんにくっついたまま、心の中であっかんべーをしていると、彼が納得したように呟く。
「あのコが例の晴菜ちゃんか」
「そうです。まさかここでも会うとは……。でもあれ絶対引いてましたよね。ふふ、計算通り」
何も勝負はしていないけれど、なんだか勝ったようなスッキリした気分だ。
陽介が彼女を追い払ったのと同じ、“暑苦しいくらいの愛を見せ付ける”という方法が、今役に立つとは思わなかったわ。
ひとりほくそ笑んでいると、夏輝さんが私を見下ろして問い掛ける。
「さっき言ったのは本心?」
「あ……」
うわ、なんか今になって急激に恥ずかしさが……。
しがみついたままの腕に込める力を少し強くして、俯きながらこくりと頷いた。
彼はふっと笑いを漏らし、私の頭のてっぺんにキスを落とす。
すると、少し離れた所から彼女の男友達が声を掛けてきた。
「晴菜、寒いからそろそろ行こうぜ」
「あ、うん……! じ、じゃあ、またね美玲。どうぞお幸せに~……」
私に手を振る晴菜は、彼女らしくないものすごく不自然な笑顔で、関わりたくないとでも言いたげにそそくさと去って行った。
夏輝さんにくっついたまま、心の中であっかんべーをしていると、彼が納得したように呟く。
「あのコが例の晴菜ちゃんか」
「そうです。まさかここでも会うとは……。でもあれ絶対引いてましたよね。ふふ、計算通り」
何も勝負はしていないけれど、なんだか勝ったようなスッキリした気分だ。
陽介が彼女を追い払ったのと同じ、“暑苦しいくらいの愛を見せ付ける”という方法が、今役に立つとは思わなかったわ。
ひとりほくそ笑んでいると、夏輝さんが私を見下ろして問い掛ける。
「さっき言ったのは本心?」
「あ……」
うわ、なんか今になって急激に恥ずかしさが……。
しがみついたままの腕に込める力を少し強くして、俯きながらこくりと頷いた。
彼はふっと笑いを漏らし、私の頭のてっぺんにキスを落とす。