まだ、心の準備できてません!
とりあえず渡せたことにホッとしていると、夏輝さんはプレゼントをダイニングのテーブルに置いて、こんなことを口にする。


「俺からのプレゼントは、美玲がちゃんと気持ちを伝えてくれたらご褒美にあげるよ」

「えっ──」


夏輝さんも、忙しい中私に何か用意してくれたの?

胸をときめかせると、彼は私の手を取り、「おいで」と言ってどこかへ向かう。

おとなしくついていくと、開かれたドアの先に待つものは、窓際に一台のベッドが置かれた寝室。


忘れていた緊張感が舞い戻ってきて、ベッドのそばで立ち尽くすと、彼はまだ着たままだった私のコートのボタンに手を掛けた。

この下が素肌というわけじゃないのに、ドキン!と激しく心臓が波打つ。

されるがままにすべてのボタンを外されると、彼は妖艶な瞳を私に近付けてくる。


「今は、もうひとつのプレゼントをもらいたいんだけど」

「ん……っ」


その言葉の直後、ゆっくり唇が重ねられ、肩からするりとコートが落とされた。

ねっとりと絡み付くような濃厚なキスで、理性はあっという間に崩れてしまう。

もう、このまま溶けてしまいたい──。

身体の力が抜けてよろけた私を、夏輝さんが腰に手を回して支えてくれて、ふたりでベッドサイドに腰を下ろした。

< 313 / 325 >

この作品をシェア

pagetop