まだ、心の準備できてません！
彼女の方が陽介のことを好きで仕方ないみたいで、微笑ましいカップルだ。

彼のことを心底愛してくれる人と出逢えて、本当によかったと思う。


「じゃーね。これからブライズに配達しに行くから。みーちゃんも腹黒王子とどうぞ素敵なクリスマスを」

「陽介も、脳内お花畑で彼女に幻滅されないようにね」

「ご心配なくー」


嫌味っぽく言い合うものの、やっぱりお互いに吹き出してしまう。

いつも笑って別れられるこの関係が、私達にとってベストなんだ。


ハーティでお花を頼むようになったジャスミンさんのもとへ向かう陽介に手を振りながら、幸せなクリスマスを過ごそうねと心の中で呟くと、ふとあることを思い出した。

そういえば、クリスマスに会うことを約束した数日前、夏輝さんからおかしなメールが来たっけ。

“心の準備をしておくように”

って、出逢った頃に私の部屋に残されていたのと、同じメッセージが。


どういうこと？と聞いてもはぐらかされて、結局彼は出張に行ってしまい、よくわからないまま今日に至る。

まぁ、今夜会った時に聞けばいいか。

……そんなふうに軽く思っていたから、いざ彼と会うと、約二週間ぶりに温もりに触れられたことの嬉しさで、疑問はどこかへ飛んでしまっていた。

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