まだ、心の準備できてません!
……あれ、今何時だろう。
うっすらと目を開け、ぼやける視界には、カーテンの隙間から覗く希薄な光が映る。もう朝になっちゃったんだ。
でも今日は休みだから、急ぐ必要もない。なんて幸せなんだろう。
まだ隣で眠っている夏輝さんの無防備な寝顔に笑みをこぼし、静かにゆっくりと身体を起こした。
「……さむっ」
思わず小声で呟くと、裸のままの身体にとりあえず毛布を巻き付け、窓に目をやる。
やけに外が明るい……もしかして雪が降ったのかな。
ホワイトクリスマスを期待して、カーテンを開けてみようと左手を伸ばした時、私はそのままぴたりと動きを止めた。
──薬指に、シルバーの輪と、透明な石が光り輝いている。
「なに、これ……」
きらきらと七色に輝く小さな宝石が付いた、流れるようなラインのリング。
そのあまりの綺麗さと驚きで、それ以上声が出ない。
広げた手を掲げたまま固まっていると、背中から伸ばされた逞しい腕に、そっと包み込まれた。
「おはよう。サンタさん来てたか?」
茶化したように言い、クスクスと笑う夏輝さん。もしかして起きてた?
去年と同じで、また私のサンタクロースになってくれたんだね……。