まだ、心の準備できてません!
◇ジャスミンとホワイト
くっついた重い瞼をゆっくりと開いた時、視界に入ったものは見慣れた天井。
ぼうっとしながら顔を横に向けると、窓の外はうっすら明るくなっている。
もう朝か……いつもより早く起きちゃったな……
……っじゃなくて!
「あれ!? 何で自分の部屋で寝て……っ、イタタタ」
ガバッと勢い良く上体を起こすと、激しい頭痛に襲われて再びベッドに横たわった。
こめかみを押さえながら記憶を整理する。
そうだ、昨日は夏輝さんとスナックで飲んでいて、酔っ払って泣いたんだ。そしたら急に彼が迫ってきて、それで……
「そ、そこまでの記憶しかない……」
ズキズキと痛む頭で考えても、あの後どうやってここまで帰ってきたのか、まったく覚えていない。
私ちゃんとお金払ったかな? 自転車は……たぶんマシロに置いたままだよね?
何も失礼なことしなかったかな……って、あれだけ酔っ払った時点で十分失礼か。
汚点ばっかりで恥ずかしくなると同時に、夏輝さんへの申し訳なさが募る。
でも、あの人が変なこと言うから……。
『俺は、いつか君をもらうから』
って、たしかに言っていたよね? 聞き間違えじゃない、はず。