まだ、心の準備できてません!
二人して歩道側を振り向くと。


「あー、やっぱり美玲と陽介くんだぁ!」

「由香!?」


私達の顔を覗き込み目を丸くして立っているのは、ショート丈のニットにシフォンスカートを合わせた、女の子らしい格好をした由香だ。

陽介も驚きながら笑顔を見せる。彼と由香も、中学の頃からずっと仲が良いのだ。


「おー久しぶり、由香ちゃん」

「久しぶり! 今日休みだからぶらぶらしてたとこなの。すごいタイミング!」


嬉しい~!とぴょんぴょん飛び跳ねる由香は、お祭りの時の晴菜と違って本当に喜んでいることがわかる。

もちろん私も嬉しい。会うのはたしか二ヶ月ぶりくらいだから。

気分も上昇して、自然と笑顔になる。


「まさかここで会うなんてね。よかった、今日出てきて」

「ホントだよぉ! でも二人でランチなんて珍しいね?」


純粋な瞳で私達を交互に見ながら由香に言われ、一瞬微妙な空気が漂う。

そういえば、まだ由香にはお祭りの時のこと話してないんだった……。

何と言おうか迷っていると、ぎこちない笑みを浮かべた陽介が口を開く。


「ちょっ、と今日は気分転換に……ね?」

「ん、そうそう」


目配せする陽介に、とりあえず私も乗っかってみた。

へへへ、と笑う私達に、由香は不思議そうに首をかしげる。

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