まだ、心の準備できてません！
彼女はこの通り、痩せの大食いで、見た目とのギャップがまた魅力的なのかもしれない。

たわいない話をしつつ、あっという間にサンドイッチを一つ食べ終えようとしている由香が、思い出したように私を見て言う。


「そういえば、ごめんね美玲」


突然謝られて、何の心当たりもない私はぽかんとする。


「え、何が？」

「この間のお祭りだよ～！　誘ってくれたのに、あたしダメだったじゃない？」

「あぁ！　いいのいいの全然」


気にしてくれてたんだ、と思いながら笑って答えた。

由香は残りのサンドイッチを大きく開けた口に放り込み、リスみたいにもぐもぐと動かして問い掛ける。


「結局行かなかったの？」


……固まる私と陽介。

そしてまた目を見合わせ、微妙な表情で黙り込む私達を、由香はまじまじと交互に見る。


「え、なにその感じ。……あ、やっぱりあたしと行きたかったんでしょう！？　美玲だけじゃなくて陽介くんも！」


冗談ではなく、本気で言っている彼女に、私と陽介は同時に口を開き、声を揃えた。


「いや、そういうわけでは……」

「微妙に傷付くこと声合わせて言わないでよぅ」


ムッとむくれた由香は、ちゅうっとアイスティーをストローで吸い上げた。

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