まだ、心の準備できてません!
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閉店してすぐマシロを出た後、由香からのメールにあった駅の近くにあるレストランへ向かった。
オムライスが美味しいと評判で、半個室になっている席や、バリのようなリゾートっぽい雰囲気の内装が女子に人気のお店だ。
先に来ていた由香の席へ案内されると、昼間と同じ服装の彼女が、にこりと笑って手を振った。
「お疲れ様~」
「ごめんね、待たせて」
「平気平気。さっきまでマコちゃんといたし」
向かい側に座り、さっそくメニューを渡してくれる由香を見る。
「デートしなくてよかったの?」
「マコちゃんとはいつでも会えるもん。それより美玲のことが気になってしょーがないの! あ、それとこれ、遅くなっちゃったけど誕生日おめでとう~」
「わ、ありがとう!」
マコちゃんとの旅行のお土産らしい包みを受け取って喜んだのもつかの間、さっそく私の話を聞きたがる由香。
彼女はもう何を頼むかも決まっているらしく、身を乗り出して、バッチリ聞く体勢が整っている。
私はどこから話そうかと考えながら、とりあえず目では美味しそうな料理が並ぶメニューを眺め始めた。
料理を頼んだ後、私は夏輝さんとの出逢いから、やらかしてしまったお酒の席でのことまで、包み隠さず話した。
由香は驚いたりニンマリしたり、コロコロと表情を変えながら、相槌を打って聞いてくれている。