ひと夏の救い
それでも家の中で意味の無い居留守を使っていたら、
インターホンが鳴り止まないし
イライラしながら玄関を開けたら
ニコッと笑うチャラ男が片手を上げた。
「アッキー、往生際が悪いなぁ。
早く行かないと皆待たせちゃうだろう?」
まるで私が悪いみたいな言い方をする。
「行くなんて言ってな…」
い、と言おうとして目を見開いた。
澄晴が、上げた片手をそのまま私に差し出してきたから。
何故か、私はその手を取ることが当たり前のような気がして
気が付いたらその手に自分のを合わせていた。
「え…?」
「よぉし!同意と見なした!」
自分の行動に戸惑っている私を落ち着かせないまま
遮る様に手を引いてそういう澄晴。
あれよあれよという間に
学校までまんまと手を引かれて行った。
私はおかしくなってしまったのかもしれない。