ひと夏の救い
「す…が、…っ……きゃ……!」
「……ね!…な………っ…」
「…しの…………、……」
「…っ!………い!?」
「あら……ね……ら!むか…!!」
キャーー!!!!
あれ、もしかして…人の声?
私の隣で耳を傾けている奈良坂君と
目を合わせてパチパチ瞬いた。
でも、最初は楽しそうに、
明るくて高い声で話していたのに、
段々と低い声と物がぶつかる様な音が廊下まで響いてくる。
「ほんっ……ゃまっ!!」
ガシャーーン!!
机と椅子のような、
大きな物を打ち付けた音が轟いて、
思わず奈良坂君の服の裾を掴んで目を瞑る。
少しの間静かになってから、
ふと、掴んだ手の甲に
夏なのに少しひんやりとしたものを感じた。