ひと夏の救い

突然響いた音に短く悲鳴を上げて
茫然としていた彼女達は、
暫くしてからハッと覚醒して
私に視線を集中させた。

「…は?何言ってんの?」
「てか誰?」
「あんた…っ!
こいつが、荒峰明だよ!」
「『王子』達を無理矢理侍らせて
良い気になってるっていう女が、こいつ?」
「マミが振られたのだって
きっとこいつのせいだよ!」
「『王子』達に可愛い子の告白は断れって
あんたが命令してるんでしょ!?」
「なんて奴…有り得ないっ」
「弱みを握ってふんぞり返ってるのよ!最低っ!!」
「『注意』してやってたのに全く聞かないし!」
「何それ…うざっ」
「今まで手加減してやってたけど、
もう許さな…」

「本当に馬鹿なのね」

さっきの茫然とした様子は何処へやら。
言葉を発した私をギロリと睨みつけてくる。

「はぁあ!!?
あんた誰にモノ言ってるか分かってんの!?
うちらがお願いしたら
学校中があんたを敵とみなすん…」

「だから馬鹿だって言ってるのよ」

顔を真っ赤にして喚いていた彼女は
三回も『馬鹿』と言われた事に対して
限界まで頭に血が上ったのか、
今度は怒りで言い返すことも出来ないようだった。

丁度いいので、
何故あなた達が『馬鹿』なのか。
馬鹿にも分かるように、
教えてあげる。

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