ひと夏の救い

「ひっ…!」

口から自然と悲鳴が出た。

何が起きたのか、
振りかざされたものは私に飛んできているのか。
分からない。

けど、
分からないことが余計に怖くて、
ギュッと目を瞑った。




数秒経っても
痛い感覚は起きない。



やっと心が落ち着いてきて、
今の自分の状況を冷静に考えられるようになってきた。


まず、
今の私は
床に足が着いていない。

そこからおかしいけど、
次。

私は揺られている。

うん、揺りかごでは無いわよ?

でも、横たわった様な体勢で
膝裏と背中、
それに身体の右側に
体温を感じる。


つ、ま、り_________











固く瞑った目を
薄く開けて見上げた先に、


らしくない表情の『お子様』君の顎が
とてつもなく近くに
見えるって事は、

私、
もしかして、もしかしなくても、

あの都市伝説の…

『お姫様抱っこ』、とか、

されちゃってる!!??
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