ひと夏の救い
「えー、今日入学した皆さんには、
この学校の生徒としての意識を持って、えー…」

ありきたりな台詞たちによくある校長先生の長話。
はぁ…面倒臭い。
座っていることすら面倒臭い。
寝たい…

大口開けて欠伸したいのを我慢して、
突き刺さる鬼婆の視線を感じながら眠気を覚ます方法を考えた。

えーと、円周率は、3.141592653589。。スースー

ぷっ

途中まで行ったところで眠気に負けた私の横で吹き出す声が聞こえた。

ん?って思って横を向くと、
なんか髪の毛がくるくるしてる天然パーマの茶髪の男の子が肩を震わせてた。

笑われてる事はどうでもいいんだけど、
何で笑ってるのかが分からなくって小首を傾げて見せると、
説明してくれる気になったのか、
涙を指で拭いながら私を見た。

「君、面白いね。てゆーか寝るの早くね?早寝大賞取れるよ」

涙が出るほど何が面白かったのかはよく分からないけど、
小声でなんか褒められた。
でもからかわれてる気がするのは気の所為!?

「楽しんでくれたようで何よりだわ。
褒めてくれてあ、り、が、と」

だから私は嫌味でやり返してやろうって思って、
小さい声だけど口をおっきく動かしてお礼を言ってやった。

それにまた笑い出す茶髪パーマ。

何この人!凄い変な人と隣になっちゃった!
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