ひと夏の救い
しばらく歩いて
音楽室前まで着いた。
当たり前に電気は
ついていないけれど、
カギはどうか。
木下君がガチャガチャと
戸を揺らすけれど、
開く気配はない。
まあ、それが当たり前なんだけれど
「なーんだ。今日は運が悪かったんだな」
「音楽室の七不思議は不定期って
話だったから、
しょうがないだろう」
「なんか、
音楽室の肖像画と目合ってる気がする。
…ここ怖くなんてないけどねっ」
「ねむい…」
音楽室の七不思議は、
勝手に曲が流れるってものだったわよね?
澄晴が怖がっていることは
七不思議でも無くて
全く主旨と関係無いけれど、
本当に怖がりみたいね。
残念そうに木下君が
深くため息をつく。
「うー、残念だ!
でも何も無いなんてつまんないな…」
「そう落ち込むな。
まだ七不思議を回りきってないんだから、
どっかでそれっぽい事くらい
起きるかもしれないぞ?」
「最初から幽霊っぽさは…無かったけどね。」
慰める東雲君の優しさを
無意味にするような事を
奈良坂君が言っているわね。
澄晴は眼をぎゅっと瞑って
お題目を唱えだしたし、
最初からどっちつかずで
よくわからないけれど、
いつになったらまとまるのよ…はぁ。
本当にめんどうくさい人たち!!