ひと夏の救い

「2階降りて、渡り廊下を渡った先に
四つ目の『トイレの怪談』の場所があるわ。
次に同じ校舎の一階にある図書室に行けば
五つ目の『呪いの本の怪談』の場所があるから
その順番に行けば効率的よ。
他の二つ目と六つ目、そして七つ目は
場所が特定されていないから
向かいようが無いわよね。
だからとりあえずそれらを気にしながら移動するほか無いわ。
二つを確認し終えた所で現れない様であれば、
その時点でまた諦めるか探すか検討しましょう」

スラスラとさっきまで面倒くさいながら
考え出したルートを説明した。

簡潔に、合理的に。

まとめて言われたそれに呆気に取られた顔を
した澄晴が、
次には何がおかしいのかクスッと笑って私に微笑んだ。

…なによ?

「怒んないでよ。
さすがはアッキーだなって思っただけ!」
「…そう」

そんなに嬉しそうな顔するんじゃないわよ!
意味が分からないわ。

大した事をした訳でも無いのに
そんな風に言われたものだから、
なんだか気まずくて目を逸らして
素っ気ない言い方をしてしまった。

…どこか体の奥の方が、ムズムズする。
これはなんなの?

不可解なそれが理解できなくて、
少し探って正体を突き止めようと思ったけれど、
結局よく分からなくなったので放置することにする。





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