ひと夏の救い
疲労の蓄積が激しくてそろそろ限界を超えそうな気がするけれど、それにしても臭いわねここ。
取り敢えず澄晴達を探すという事で合意したところで、
立ち上がろうと腰を上げた時。
ガ、…ガガッ…ガッコン!
ジャー!!ゴポゴポ…コポコポコポ…
ジャー!!ゴポゴポゴポ…コポコポ…
突然響いたけたたましい音に驚いて前のめりに倒れそうになった。
けれど、どうにか踏ん張ってそれに耐える。
こ…今度は何なのよっ…もう!
歯車が盛大にはずれたような、部品が落ちたかのような音に加え、
まるで大雨の後の氾濫した川みたいに勢いよく流れる水の音。
驚いた事の恥ずかしさ半分と、原因に対する怒り半分で聞こえた方を振り返り近寄ると、
さっきと同じ音を繰り返し続ける…トイレがあった。
ガガッ…
ジャー!!ゴポゴポ…ゴポポ…
「…もしかして、これかしら」
「あー…そう、だな。そういえばここがさっき向かう予定だった『七不思議』の場所だったか?」
「ええ、トイレの奥から二番目。
そのトイレの中には人を引き摺りこんで溺れさせる霊がいる、という怪談。
トイレの怨霊とか何かだった気がするけれど、
…あ、止まったわね」
「どう考えてもこれは」
「「ただの故障」」「だな」「よね」
意図せずとも二人して苦笑してしまう。
ガッコン!ガコッ!!
ジャー!!…ジャー!!
七不思議スポットになんているせいか、私たちが苦笑したのに怒ってトイレが動き出したように感じる。
「この学校は創立50年は経つし、いつトイレを改装したかなんて知らないけれど、
相当整備されていない期間が長いことは確かね。
とんでもなく臭いし。排水溝くらいどうにかしてほしいわ」
「確かに臭いな。成り行きだが、七不思議の一つも解決した事だし、早く出ようか」
「賛成よ」
急いで入ったし、その後の事も衝撃的だったものだから、
あまり気にしていなかったけれど、
意識してみると、何となくタイルの床がヌルついている気もして気持ちが悪くなってきた。
…帰ったら洗おう
さり気なく口を手で多いながらそう頭の中で考えて、気持ち早歩きで(気のせいか東雲君も早い)そそくさとトイレから出た。
「そういえば、あそこ女子トイレだったわね」
警備員らしき男の人が隣のトイレでしていた事と件のトイレを覗いた様子からどうでもいい事だけれどふと思い出して、ポツリと口に出したら
前を歩く東雲君の肩がぴくりと震えたように見えたけれど、
暗かったから気のせいかもしれない。
キィ…
明たちが見たトイレの向かい側のトイレ。
ソコには、下を向いた赤い、血のように赤い、べっとりと壁に描かれた矢印があった。
取り敢えず澄晴達を探すという事で合意したところで、
立ち上がろうと腰を上げた時。
ガ、…ガガッ…ガッコン!
ジャー!!ゴポゴポ…コポコポコポ…
ジャー!!ゴポゴポゴポ…コポコポ…
突然響いたけたたましい音に驚いて前のめりに倒れそうになった。
けれど、どうにか踏ん張ってそれに耐える。
こ…今度は何なのよっ…もう!
歯車が盛大にはずれたような、部品が落ちたかのような音に加え、
まるで大雨の後の氾濫した川みたいに勢いよく流れる水の音。
驚いた事の恥ずかしさ半分と、原因に対する怒り半分で聞こえた方を振り返り近寄ると、
さっきと同じ音を繰り返し続ける…トイレがあった。
ガガッ…
ジャー!!ゴポゴポ…ゴポポ…
「…もしかして、これかしら」
「あー…そう、だな。そういえばここがさっき向かう予定だった『七不思議』の場所だったか?」
「ええ、トイレの奥から二番目。
そのトイレの中には人を引き摺りこんで溺れさせる霊がいる、という怪談。
トイレの怨霊とか何かだった気がするけれど、
…あ、止まったわね」
「どう考えてもこれは」
「「ただの故障」」「だな」「よね」
意図せずとも二人して苦笑してしまう。
ガッコン!ガコッ!!
ジャー!!…ジャー!!
七不思議スポットになんているせいか、私たちが苦笑したのに怒ってトイレが動き出したように感じる。
「この学校は創立50年は経つし、いつトイレを改装したかなんて知らないけれど、
相当整備されていない期間が長いことは確かね。
とんでもなく臭いし。排水溝くらいどうにかしてほしいわ」
「確かに臭いな。成り行きだが、七不思議の一つも解決した事だし、早く出ようか」
「賛成よ」
急いで入ったし、その後の事も衝撃的だったものだから、
あまり気にしていなかったけれど、
意識してみると、何となくタイルの床がヌルついている気もして気持ちが悪くなってきた。
…帰ったら洗おう
さり気なく口を手で多いながらそう頭の中で考えて、気持ち早歩きで(気のせいか東雲君も早い)そそくさとトイレから出た。
「そういえば、あそこ女子トイレだったわね」
警備員らしき男の人が隣のトイレでしていた事と件のトイレを覗いた様子からどうでもいい事だけれどふと思い出して、ポツリと口に出したら
前を歩く東雲君の肩がぴくりと震えたように見えたけれど、
暗かったから気のせいかもしれない。
キィ…
明たちが見たトイレの向かい側のトイレ。
ソコには、下を向いた赤い、血のように赤い、べっとりと壁に描かれた矢印があった。