ひと夏の救い


結局断るのも面倒で、
大人しくひとけのない倉庫前まで連れてこられた。

五人くらいで私を取り囲む女の子達が、
ギラついた目で私を睨み付けてくる。

「あんた、王子様達を独り占めとか何様のつもり?」
「ちょっと見た目が良いからっていい気になって!」
「まじうざいんだけど!」

他にもうんたらかんたら愚痴を吐き続けるから、
面倒臭くてうんざりして、
ため息は付かないようにしながらも終わるまで待った。

好きに言えばいい。
それで気が晴れるなら。
寧ろあの可笑しな人達を剥がしてほしい。

そう思いながら喚き散らす女子達を眺めてたら…

「黙ってんじゃねえよ!」

ドンッ

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