今から、絶対にバレない嘘をつきます
ピーンポーン
いつものようにハルの家に着いた私は、いつものようにインターホーンを鳴らす。
すると気だるそうに、ハルは玄関の扉から顔を出した。
『あれから、また寝てたの?』
私はハルの顔を見て、開口一番にそう問いかける。
『あーうん…まぁ…』
なんとも歯切れの悪い、そのハルの返事に、私はハルの目を見つめる。
『…なに?』
私の視線を受け取るなり、ハルは気まずい顔を見せながら、私に聞き返してくる。
『…べっつにー…』
『まぁ…とにかく入れよ』
ハルにそう言われ、私は玄関のドアをくぐった。
ハルの家はお金持ちなのかな、そう思ってしまうほどに大きい家。
この家に初めて入った時もそう思ったけど、それは何度来ても同じような感想を述べてしまうほどの家だった。
『今、飲み物持ってくるから、部屋、行ってて?』
ハルにそう言われ、私は無言でハルの部屋へと続く、その階段を上っていく。
階段を上って、左にちょっと歩いたところ、そこがハルの部屋。
もう何度も来てるから、この家の間取りは把握してる。
ついでに言えば、ハルのご両親は二人とも弁護士さん、お互いに別々の事務所を構えて、お互いに昼夜問わずで働いているから、この家はハル、一人だけの家、と言いきれてしまうほどだ。
だから、ハルの家でならなんでも出来るんだけど。