今から、絶対にバレない嘘をつきます






『ね、ハル?
 冬香のこと、好き?』




ハルはユックリ上体をあげて、そして私のことを見下ろす。






『なに、その質問。
 俺がYESで答えたら、この関係をきっぱり終わらせんの?』





ハルが冬香を選ぶなら。


もっと冬香を傷つける覚悟くらい、私はある。



ハルが冬香を選ぶというのなら、私はこの関係を崩さない。






『ハルがYESで答えたら…
 きっともっとスリルがあって楽しいよね?
 だから、この関係はやめない』



私の返事に、ハルは意地悪く、鼻で笑った。







『へー、じゃ、俺がNOって答えたら?』




ハルが今の関係でいいと思ってくれてるなら。


私はこのままでいたい。





『ハルがNOって答えたら、もう終わりにしよう』



でも、それでも、私はハルに嘘をついた。





『それってさ、俺に委ねてんの?
 俺らのこの関係の結末をさ…』





ハルの言葉に私はクスって笑った。






『そうだね、だって私はスリルを味わいたいの。
 こういう関係じゃないとスリルを味わえないし?』



ハルも私の言葉にフッて鼻で笑った。






『あっそ。
 じゃ、冬香のことが好きだな、俺は』



その言葉の後、ハルは私の体をもう一度押し倒してきた。






『本当にその答えでいいの?
 大事な、大事な冬香が泣いちゃうよ?』





『そっくりそのまま、お前に返すよ。
 お前の親友、なんだろ、冬香は。
 親友とか言いあってる、その裏で親友の彼氏とこういうことしてていいの、お前?』






『親友、だから、じゃない?
 親友だから、スリルがあって楽しいんじゃない』





『じゃ、俺も彼氏、だからだな』



ハルはそう言って、私の唇に自分の唇を押しつけてくる。






私たちの関係は、狂いに狂っていくー…。







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