今から、絶対にバレない嘘をつきます
~♪~♪~♪~
携帯の着信音が鳴り響き、私はハルを起こさないように、そっとベッドから這い出た。
着信の相手を確認すると、そこには、“冬香”と表示されていた。
一瞬、この着信に出るべきか、それとも出ないべきか、悩む。
でも、“早く出ろ”と言わんばかりに着信音が鳴り響く。
…しつこいほどの着信に痺れを切らして、私は通話ボタンを押した。
『…もしもし?』
私の声を聞いて、冬香が“あ”と言った。
『夏美……朝からごめんね?
ちょっと……夏美に喝を入れてほしくて電話しちゃった…』
喝?
冬香の言葉に私は首を傾げる。
『えー何、どういうことー?』
私がそう答えると、電話の向こうで冬香が喉を鳴らす音が聞こえた。
へ、どうしたんだろ、冬香…?
『冬香?』
『あのね…?
私、今、ハルの家に来てるの!
ちゃんとハルと話した方がいいかな、って思って…』
いやいや…
てか、家の前に来てから、私に連絡しないでよ!?
てか、家の前!?
私はそっと立ちあがり、ハルの部屋の窓側に移動する。
そっとカーテンをつまみ、ちょっとした隙間から外を確認する。
『………冬香……』
そこには、冬香が立っていた。
玄関正面を見ているから、私のことには気づいていない様子だったけど。
でも、私はベッドで気持ち良く寝ているハルを一発叩いた。