今から、絶対にバレない嘘をつきます
『……ん……夏美、どうした…?』
寝ぼけたハルが、そう声に出した。
『……え……今、“夏美”って………?』
私は、咄嗟のことで電話を切る。
そっと、窓際まで行き、さっきと同じようにカーテンの隙間から外を覗くと、突然、携帯を切られ、ハルが発した言葉に、気が動転してるんだろうか、冬香の顔は強張っていた。
私は再び、ベッドの方に戻り、またもや寝そうになっているハルの背中を叩いた。
『……ってぇなー……』
不機嫌そうに言葉を発するも、私はハルの耳を引っ張った。
『……て、てて…』
痛がってるハルなんて無視、とりあえずハルにはちゃんと目を覚ましてもらわなきゃ!
『ハル、冬香が来た…』
私の言葉に、ハルは一瞬にして目があいた。
多分、私が言った、”冬香”の単語に反応したからだろう…。