今から、絶対にバレない嘘をつきます




『…………………私、信じてたのに…。
 夏美は…私の恋を応援してくれてるって……』




冬香の言葉の矛先がハルから私に切り替わる。


責められて当然、軽蔑されても当然。


自分が招いた、その結果だもんー…。






『………それで?
 私が悩んでる間も、二人はこんな風に会ってたんだ…?』




その言葉を言い終えた、その瞬間に冬香が見せた顔。


般若さえも超えた、怖い表情で私を睨みつけている。






弁解の余地もありません、言い訳するのもおかしい。




『…そう、だよ』



私の言葉に、冬香は元々大きい目を更に大きくさせた。







『………そうだよ?
 だって、冬香にムカついてたから…。

 冬香は知らないでしょ?
 冬香が幸せそうにしてる、その間に私がどんな思いをしてたか…。
 冬香が幸せそうな顔をすればするほど、冬香からハルを奪ってやりたかったの…』






だって、私も、本当は、ハルのことが好き、だったからー…。







もう、“スリルを味わいたい”だなんて言っていた、昨日までのような余裕が、今の私にはない。






『………どうして……?』





冬香、冬香は何を聞きたいの?




でも、冬香、冬香はそうやって泣けるからいいじゃない…


私は加害者で、冬香のように泣いてはいけない。




私だって、こんなことになって、本当は苦しいし、悲しいんだよ。


冬香のことを、親友のことをこんなにも泣かせてる、そんな自分が痛いんだよ…。








『冬香、ごめん。
 俺が最初に夏美と会う口実を作る、そんなことさえ考えなければ良かったんだ。

 だから、夏美は何も悪くない』



ハルはそう、キッパリと冬香に言いきった。





でもね。


ハル、私はその言葉に素直に喜べないよ…。





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