今から、絶対にバレない嘘をつきます





でも、冬香のその顔を見て、私、知っちゃった。




“彼は冬香じゃなくて、私に告白をしてきてくれたんだよ”


“彼は私に告白をしてくるほど、私のことが好きなんだよ”


“冬香が付き合えたのは、私が断ったからなんだよ”



…そんなことを、親友の幸せそうな顔を見ていても思えちゃう自分を。




真っ暗な闇が私の胸を包み込むのが自分でも分かった。








『二人とも、おめでとう』


心にも思ってない言葉だったのに、それでも私は二人に向かって、そう言った。







『ありがとう♪』


冬香の顔はすごく可愛くて、でも初めて親友の笑顔にイラっとした。



勝ち誇ったような、そんな笑顔にしか見えなかった。






『…夏美ちゃん、だっけ?
 冬香の恋人として、よろしく』



彼は三日前が嘘のように、そう私に言ってきた。






あんたが、私に告白したくせに。


それなのに、なんで私がこんなことを言われなきゃいけない?








『よろしくね、ハル君』




でも、イラつく気持ちを必死で押し殺して、私は笑ってやった。








私のイライラを増幅させる冬香の笑顔、そしてハルの態度。






壊してもいいですか?



私が彼の告白を受けていたら、冬香に彼は振り向かなかった、そう、冬香に教えてあげる。



冬香の告白に簡単に落ちたハルにも、私の存在を刻んであげる。





この二人の仲を、私は絶対に壊すー…。






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