今から、絶対にバレない嘘をつきます
始まりから、三ヵ月。
冬香に罪悪感を感じつつも、それでもハルと過ごす毎日も私の生活の当たり前の領域にさしかかっていた。
『……もう…どうしようもない……のかな………』
冬香はそう言って、テーブルに突っ伏して、その小さな体を小刻みに揺らしていた。
『……大丈夫だって!
だってハル君は人気者だけど、冬香が初の彼女、なんでしょ?』
私はそう、冬香に声をかけるも、冬香は顔をあげることはない。
そう。
ハルは本当に人気者、いろんな女の子から告白とかもされてる、でも冬香と付き合うまで、彼女がいたことがなかった。
『…………………………うん……。
でも…彼女がいなかった、それって、ちゃんと好きな人がいたから……じゃないのかな?
その人と……いい感じ…なのかな……?』
冬香の言葉に、ゾクッとした。
もし、冬香の言う通りなら…。
『そんなこと、ないでしょ?
気になるなら、正直に聞いてみなよ、ね?』
私は手を伸ばして、冬香のその小さい手に添えた。
『もし、冬香が聞きにくいなら、私が聞いてきてあげるよ』
私のその言葉に、冬香は顔を上げた。
『………ありがと』
冬香はそう言って、私に微笑んだ。
バカだな、冬香は…。
冬香が泣いてる原因を作ったのは、今、あんたの目の前であんたの味方をしてる、この私だよ?
それなのに、“ありがと”とかー…。