今から、絶対にバレない嘘をつきます
冬香が落ち着くのを待って、私たちは別れた。
冬香の姿が見えなくなったのを確認して、私はカバンから携帯を取り出す。
『……もしもし?』
少し眠たそうな声で、ハルがそう言った。
『寝てたの?』
『うん……今日部活が久々に休みだったから…』
今にもまた寝てしまいそうな、そんなハルの声を聞いて、私はクスッと笑った。
『それより何?』
『今日、行ってもいい?』
『あーうん…』
『じゃ、今から行くね』
『了解ー』
そんな短い言葉を交わして、私は通話を切った。
『………ちょっと早かったなー』
私は一人、ハルの家に向かって歩き出す。
『まぁ…終わりにしよっか…ハル、冬香』
呟いた言葉に誰からの反応もなく、私はフッて笑った。
そう、これからが最後の復讐ー…。
ハルの心に、“私”を刻んでやる-…。
冬香の元にも戻れないくらい、私をいつまでも忘れられない、そのくらいに、“私”を刻んであげる。