パンジーの花
「瀬川…な、ナオトくんもユリでいいよ!」
「…おう。」
私の顔もタコのように、火照るのがわかる。なんだろう、心臓が苦しい。
私は耐えきれなくて、話題を変えた。
「海、誘ってくれてありがとう!」
「おう。実はさ、マサキから言い出したんだぜ。」
「え、そうなの!?」
ナオトくんは、私にしか聞こえないような小さな声で、"アイツ、ナツキのことが好きだろ"と言った。それを聞いて、私は胸が踊った。私もナオトくんにしか聞こえないような小さな声で、"ナツキも柴田くんのことが好きだよ"と伝えれば、ナオトくんは目を開いて両想いかよ。と呟いた。
「ユリは、彼氏とか好きなやついんの?」
ナオトくんの言葉が頭に入ってこなくて、私は小さく唸る事しかできなかった。
いない。と言えば、ナオトくんは、
そうか。と言った。それが少し嬉しそうに聞こえたのは、私がおかしくなっただけなんだろう。