パンジーの花

三十分くらい経っただろうか。ナオトくんと話していると、向こうからナツキと柴田くんが走ってくるのが見えた。

「みんなごめんー!!」

ナツキの謝りにナオトくんと私は気にしないで。と言ったのだけど、柴田くんは、目が離せない。と苦笑いしていた。

「マサキが走ってくとは思わなかったけどな。」
「ほんとだよ!あ、携帯かえして!」
「ユリちゃんごめん」

柴田くんからスマートフォンを返してもらい、四人でまた笑う。あのね。というナツキの声で振り返れば、ナツキは顔を赤くして目を伏せた。

「…柴田に付き合うことになりまして。」
「なりまして!」

ナツキの恥ずかしそうな声に、柴田くんが嬉しそうに追う。私は声を上げて、ナツキに抱きついた。おめでとうおめでとう。と何回も言うとナツキの大人っぽい顔が子供みたいに嬉しそうにほころぶ。


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