パンジーの花

重い足取りで新しいクラスに向かえば、
もうクラスの子たちは来ていたみたい。
席は番号順になっていて、自分の席に座ると、後ろの席に誰もいないことに気づいた。
そうか、後ろはあの瀬川くんだ。
がんばれ、私。そう頭の中で唱えた。

時間が経つのは速く。先生がクラスに入ってきて、出席を確認するが、後ろの席は空いたまま。先生も呆れてる様子だ。
どういう人なんだろう。そういえば、ちゃんと見たことも話したこともないや。
噂によると、きっとヤのつくような職業の人だって聞くけど。
一人、噂の瀬川くんを思い浮かべて冷や汗をかいていたら、音を立てて教室のドアがあいた。

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