パンジーの花

ナツキが私の名前を呼んで、家まできた。お母さんは、何も言わずに家に上がらせたみたいで、部屋のドアがバンッという音を立てて開いた。
泣いてる私をナツキは、最初は"どうしたの"と言っていたけど、落ち着くまで泣きな。と言って強く私を抱きしめてくれた。
私が落ち着いた頃に、またナツキが口を開いて、真剣に私の話を聞いてくれた。

「私、ナオトくんが好きだったみたいで、それで、ナオトくんには好きな人がいるって、それでそれで…っ!」

私がまた泣き始めて、ナツキは顔を歪めて抱きしめてくれた。
ユリは私の大事な親友だよ。最悪な女なわけがない。
そのナツキの言葉で、私は救われたような気がした。

「瀬川のことが好きなら当たって砕けな。好きな人がいたから失恋っていう訳でもないんだよ。あんたが好きなら好きって瀬川に伝えなさい。そうじゃないと、ツライのはユリなんだから。」

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