パンジーの花
「あっ、花火だよ!」
私の声にナオトくんも顔を上げる。公園から、近くでやっている夏祭りの花火が上がる。わぁ、と小さく声を漏らすと、ナオトくんが手を繋いでくれた。
「好きだ、好き、ユリ。」
「私も、ナオトくん大好き。」
花火を見ながら公園から帰る。ナオトくんは何回も何回も私を好きって伝えてくれる。もう伝わってるよ。そう言えば、ナオトくんは綺麗に笑うのだ。
「明日、デートしよう。ユリ」
「うん。またメールしてね、ナオトくん。」
私の家の前で、ナオトくんはずっと手を離そうとしない。どうしたの。そう言えば、ナオトくんが私の口に、自分の口を合わせて、また明日。と言って頭を撫でた。