パンジーの花

ナオトくんは今日、珍しくピアスをつけていて、いつもはつけないのにと聞いてみたら、ユリに似合う男になりたい。と薄く笑った。私もナオトくんにつり合う女の子になりたいんだよ。似たもの同士なのかも。

「好きなの、買ってやるから。」
「えっ、でも…」
「好きな女に奢ってなにが悪いんだよ。」

カァーとまた顔に熱が集まる。ナオトくんは、あーっと唸りながら、またそっぽ向いた。足が長いナオトくんは私に歩幅を合わせて歩いてくれる。そういうところが、ナオトくんの何気ない優しさなんだって思う。

チラチラ揺れる、ポイントタイプのピアスを見つめる。ピアスに憧れなんてなかったけど、どうしても自分にはないものを見つめてしまう。

「どうした…?」
「んーん、ピアスみてたの。」

ナオトくんは私の髪をかき分けて、
耳を出す。空いてないんだな。と笑って、私はむすっとする。ごめんごめん。と笑うナオトくんを無視して拗ねる。


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