雨の日の太陽
「何だよ」
「今まで誰とも友達になろうとしなかったお前が友達?
冗談だろ」
天の兄、月は愕然とした表情で天を見る。
「嘘なわけあるかバカ兄貴。
コイツとは利害が一致したようなもんなんだ」
「利害の一致って何のだよ」
「“仲間”が欲しい私たちだが、本当に互いが信用に足るのかは分からない。
だから、『友達』から始めようというわけだ」
「全く意味分からん」
月は額にシワを寄せていた。
「凡人の兄貴には分かるまい」
「あ゛ぁ? 誰が凡人だ! だ、れ、が!」
月は完璧に凄んでいるが、天は全く意に介さない。
「成績優秀で運動もできる私。
成績どころか授業にもロクに出ないし、運動はできてもすぐキレる兄貴。まだあるぞ、あと――」
「あーあー、分かった。俺が悪かった。だからもうそれ以上何も言うな」
さすがに分が悪いと思ったのか、耳を塞いで敗北を宣言する。
「ならばいい」
「くそっ」
(妹に弱い兄貴だなぁ)