雨の日の太陽
「俺は女役ばっかだった……」
「身長だろ」
天の歯に絹着せぬ物言いに、六花の心が抉られる。
「ハッキリ言うなよ! まだ一応伸びてるんだからな!」
六花の身長は172㎝と平均的なのだが、六花のクラスには180㎝近い長身が多く、必然的に六花は周りから背が低いと見られるのだ。
「内の兄貴も二年のときは六花と似たようなもんだったぞ」
「呼んだか」
下の方から声が聞こえたので、振り向くと月がいた。
「呼んでない、帰れ」
天は冷たくあしらうが月は気にせず、階段を上がって来る。
「可愛くないなー、お前は。
んで、俺の何の話をしてたんだ?」
「兄貴は馬鹿だって話をしてたんだ」
「そうか、兄ちゃんがカッコイイって話か」
「耳鼻科行ってこい馬鹿兄貴」
「眼科行ってこい馬鹿妹」
(なんてレベルの低い…)
どうやら天は兄に対しては同じレベルになってしまうらしい。
「月先輩の身長が二年のときは俺と変わらない身長だったって話ですよ」
レベル低い応酬のやり取りにも飽きたので合の手を入れる。
「あ゛? 俺の身長?」
「体育で社交ダンスをやったんだが、六花は身長的に女役だったと」