ふたりぼっちで恋をしよう。
「……っ、」
突然の激痛に声も出ずに悶絶する。
涙で滲むめぐるの顔はどこか清々しかった。
「なーんか、しずのこと蹴ったら気分も晴れたから今日は許してあげる」
嬉しそうにそんなことを言うコイツはきっと人間じゃなく悪魔だ。
じゃなきゃきっと鬼だと思う。
「あ、いま失礼なこと考えてたでしょ?」
「失礼なことなんて考えてないよ」
「…ほんと?」
ほんとほんと。
失礼なことじゃなくて全部正しいことだよ。
なーんて、めぐるにはとてもそんなこと言えないけどね。
「とりあえずお腹すいたし何か食べようよ?めぐるは何がいい?」
話題を切り替えてうまくめぐるのことを誘導する。
これが6年かけて僕が習得した技。
秘技、めぐる誘導術。