赤ずきんと寂しがり狼

「立てますか?」

低い声でそう問いかけられ、びっくりと少しドキドキで言葉に詰まる



「あ…ぅ、はい…」
大きくて私のよりしっかりした手に引っ張られて体がぐんっと動く…少しの力で起き上がることができた



「…すみません、ぼーっとしてて」

「あ、いえ…私の方こそ…」


…会話が続かない
そもそも初めて出会ってぶつかったような人と話題なんてあるわけがない


「あ…ほんとすみませんでした
 それじゃあ、急いでいるので…」

「…どこに行くの?」

「え…?」
突然の質問に驚く



「どこまで行くんですか?…送りましょうか?」

さすがにかっこいいと言っても知らない人なので本心で断ろうとした
「え?…すぐそこなので…」


「この辺りは、狼が出やすいんだ…あまりうろうろしてたら食べられちゃうよ…?」



「…。」
え?なにこれ?どうしたらいいの?




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