課長の独占欲が強すぎです。
周囲の目と密着している大きな身体が気になりすぎて、私は釣れた魚がアジだかタコだか覚えていない。
ツボ抜きと保冷バッグのサービスをしてもらった魚を一旦車に置きに行くと、次はマリンパークで1番大きな建物、水族館へと向かった。
大型アクアリウムはGWと云う事もあってイベントが多く、沢山のお客さんの目を楽しませてくれている。
カラフルにライティングされた水槽と楽団のコラボレーションや、期間限定で公開される貴重な海洋生物、アシカの餌やり体験などなど。
中でも私はナイトアクアリウム体験コーナーがとても気に入った。ライトダウンした館内に浮かび上がる幻想的な魚たち。その美しい光景に心酔しているうちに、心の隅にあったモヤモヤもすっかり消え夢中で見入っていた。
ところが隣を見れば和泉さんが見ているのは魚じゃなくやっぱり私で。
「和泉さん、お魚見ましょうよ。綺麗ですよ」
「お前を見てる方が楽しい」
これである。全く、何のために来たのやら。
和泉さんの視線を常に感じつつ広い水族館めぐりも終わり、館内のロビースペースにあるグッズショップへと最後に立ち寄った。