課長の独占欲が強すぎです。

 とにかく、このままでは骨の髄まで食い尽くされてしまいそうな流れに、私は何とか温情をもらおうと、エンジンを掛けようとした和泉さんの腕にしがみついて訴えた。

「ちょ、ちょっと待って下さい。あの、今日はその、やめませんか?」

「なんだと?」

 聞き返す声は不機嫌オーラ漂う低い声。恐い、恐すぎる。

「えっと、和泉さんが嫌いとかそういうんじゃないんです。ただちょっと、心の準備がまだ……」

「何を子供みたいな事を言ってるんだ」

「だ、だから、その……子供なんです。年齢はいっぱしに大人ですけど、私そういう事に関しては……全くの子供なんです」

 シーンと車内に沈黙が落ちた。私の言葉を聞いて瞠目して驚いてる和泉さんの顔が見られずに、どうしても俯いてしまう。

 やがて、確かめるような声で和泉さんが尋ねてきた。

「……処女なのか?」

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