課長の独占欲が強すぎです。
それにしても、知らなかったとはいえ今日が和泉さんの誕生日なのに、私と来たら逆にもらいっぱなしだ。
「言ってくれればいいのに。そうしたら私だってプレゼントくらい用意して和泉さんをお祝いしたのに」
「プレゼントなどいらん。お前がいればいい」
そう言って大きな手が私の指を掴み、そっと彼の口元へ引き寄せられる。チュッと指先にキスが落とされ薬指を甘く唇で食まれた。
指先からゾクリと甘い熱が広がったけれど、私はそれを拒むように黙って手を引く。唇からは離れたけれど掴んだ手は離してはもらえなかった。
まだ、1番肝心な事を答えてもらってない。
無言で見つめる私に和泉さんは小さく溜息を吐いたけれど、それは自責のものだと彼の表情から伝わってきた。
「部下の前であんなに堂々とお前を奪ったんだ。てっきり伝わってるものだと思ってたがな……」
ぼやくように和泉さんは口にしたけど、私はキュッと唇を引き結びひたすらに彼を見上げ続ける。
「……好きだ、小夏。会った時からずっとお前を俺のものにすると決めていた」