課長の独占欲が強すぎです。
翌朝は起きるのが遅くなってしまったのも無理はない。
昨日の夕食時、彼が言っていた『しっかり食べないと一晩もたないぞ』の科白に嘘は無く、あまりカロリーを摂取していなかった私は精も根も尽き果てて、昨夜は気を失うように眠ってしまったのだから。
ホテルのモーニングタイムが終わってしまう寸前にレストランに駆け込み、和泉さんと揃ってテーブルに着く。
オーダーしたフレンチトーストにはたっぷりのクリームと蜂蜜まで掛かっていて、舌に広がる甘さにようやく身体が栄養を補給出来たような気がした。
「ああ美味しい、お腹ペコペコだったんです」
思わず顔を綻ばせれば、向かいの席でサーブしたパンを食べていた和泉さんが可笑しそうにクスクスと笑う。その顔には『だから昨夜言ったのに』と書いてあるのが、ちょっと憎たらしい。
普段は食べるのが遅い私だけど、かなりの空腹とふんわり焼かれたフレンチトーストがあまりに美味しいおかげで、ついパクパクと食べ進めてしまった。すると。
「小夏」
向かいの席から呼びかけられて、じっと視線を送られた。