課長の独占欲が強すぎです。
驚いて顔を上げると、東さんは可笑しそうに口角を上げてクスクスと笑っている。東さんってば、わざとだ。密かに赤くなってる私をからかうように笑っている東さんを心の中で『意地悪〜!』と責めておいた。
けれど、それ以上の意地悪が私の隣にやってきて爆弾を落とす。
「俺も土産がある。みんなで適当に分けて食え」
そう言って和泉さんがデスクに置いたお菓子は、私と同じマリンパークのもの。
イルカのデザインが入った箱を見て、私の心臓がヒヤッと凍て付く。い、一体いつの間に買っていたんだろう。
当然みんなもそれに気付き、視線は一斉に私と隣に立つ和泉さんへ向けられた。
「あれ? 偶然? これ同じマリンパークですよね」
「偶然じゃない。一緒に行ったんだからな」
「い、和泉さんっ!! 言わないでってあれほど……!」
失言。これっぽっちも隠す気の無い和泉さんの発言に追い討ちを掛けてしまった私は、真っ赤になった顔を両手で覆って俯くしかなかった。もはや恥ずかしすぎて声も出てこない。
どよどよと騒つく声の中、東さんの爆笑する声がやけに聞こえた。