課長の独占欲が強すぎです。
「まあ、やっぱりって感じはしてたよな」
昼休み。いつものように『モーリー』でのランチタイムで、先輩達は口を揃えてそう言った。
幸いというか何と云うか、今日は和泉さんは昼を挟む編集会議に参加していてこの場には居ない。
「やっぱり? どうしてですか?」
私は『モーリー』ですっかり自分の定番になった和風煮込みハンバーグをスプーンに掬いながら尋ねる。
「宍尾課長って隠し事できない性格だからね。橘さんにメチャクチャ気使ってんの、見ててみんな分かってたよ」
「そ、そうなんですか」
先輩の答えを聞いて、私は和泉さんが言っていた『お前には特別優しくしていたつもりだ』って科白を思い出した。あれ、本当だったんだなあ。私には実感なかったけど。
「課長、見た目はちょっとおっかないけど間違いなくイイ人だからさ。良かったんじゃないかな、橘さん。まあ、食う量はアレだから結婚したら大変だろうなーとは思うけど」
みんなが和やかに笑う中、『結婚』という単語に妙に反応してしまった私はひとりで赤くなりながらぎこちない笑いを浮かべた。