課長の独占欲が強すぎです。

「えっ、そんなにですか?」

 言われて見れば。日焼け止めは塗っていたけれど、途中で日傘を閉じてしまったせいか腕や首すじがほんのり赤くなっている。

 油断した。女子にとってこれはさすがにショックな痛手だ。帰ったらしっかり手入れしなくては。

「和泉さん、晩ご飯はゴーヤにしましょ。あとトマトとか豚肉とか。ビタミンCとEいっぱい摂らなくっちゃ」

 焦って日焼け対策を練る私に、和泉さんはフッと薄い唇を綻ばせるとふいに首筋へと甘噛みしてきた。

「きゃ……っ!?」

「焼けたお前も美味そうだな。健康的で香ばしそうだ」

「人をパンみたいに言わないで下さい!」

 カプカプと悪戯するように歯を立てられて、くすぐったさの混じる刺激に妙な吐息が零れてしまう。

「ふ……っ、ん、くすぐったい和泉さ……ん」

 力が抜けそうになって大きな背中にしがみつけば、和泉さんはそのまま私を抱きかかえて迷うことなく寝室へと運んだ。

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